
飲食店の店舗運営やマネジメントを行う上で、日報は欠かせない資源といえるでしょう。日々の接客の中に、飲食店の収益改善のネタはつまっています。
・顧客からメニューにはない食事の要望を聞いた
・最近オーダーが増えて品切れになってしまった商品があった
・近隣で開催されたイベントの終了後に団体客が来店した
など、日々起きたことを日報に書いて記録に残しておけば、メニューの開発や仕入れに活かせるでしょう。一方で、日報の意義や具体的な活用方法についてよくわかっていないという方も多いのではないでしょうか。
今回は飲食店の日報に焦点をあてて、日報に記載したい項目や売上日報との違い、日報を書く時のコツや活用方法を中心に解説します。日報の必要性やメリットをあまり感じていない飲食店の方、日報をうまく活用し売上やリピーターを増やしたい方はぜひ、参考にしてください。

飲食店の日報とは

飲食店の日報の概要
飲食店の日報は、他の業種と同じく日々の「業務内容」「運営状況」などをまとめた報告書です。
例えばチェーン店の場合、本部に送信したり、オーナーやスタッフの方が記録として書いていたりするでしょう。売上の記録だけでなく、その日の営業やクレーム、従業員とのやり取り、今後検討したい事柄なども日報に書きます。
営業日にこのような項目を含めた日報を書くことで、今後の店舗運営や従業員教育、シフトを検討する際の有益な参考資料、ひいては店舗の財産として残ります。
売上日報との違い
日報の他に「売上日報」というものが存在します。名前は似ていても、この2つは別のものです。
日報は、店舗運営や営業全般に関する報告書ですが、売上日報はレジ清算(レジ締め)を行った後に書く「売上」に関するその日の記録をまとめた報告書です。POSレジを使用している場合、レジから出力されるものが売上日報に近いものとなります。
日報にも売上や販売状況などは書きますが、売上日報は売上に関する要素以外に、接客上の気付きや従業員に関する内容も含まれます。
飲食店の日報に記載する項目

日報では業務を振り返るだけでなく、今後の仕入れや販売戦略の検討材料として活用できるような内容にまとめることが大切です。ここでは、具体的にどのような項目を記載すればよいか見てみましょう。
人気・定番商品の売上状況
飲食店には人気商品や定番商品があります。
提供頻度や数量が多い商品に関する情報は、定量的な販売数量や売上高以外に注文した客層(属性)なども記載するのがコツです。これらの情報は新しい商品やメニュー、企画を考える際にも有益なヒントとなります。
来店したお客様の属性
同じジャンルの飲食店でも、立地や店舗形態、雰囲気によってさまざまな属性のお客様が来店するでしょう。来店比率の多い属性が把握できれば、サービス面や商品、メニュー開発など多方面から効果的なアプローチを検討しやすくなります。
過去と比較し客層が変わってきたような場合、その変化にいち早く気付くきっかけになるため、店舗運営そのものを見直す機会となります。
時間帯別・曜日別・季節別などの売上所感
飲食店という性質上、季節や曜日、時間帯で客層が異なりやすい業種といえます。毎日の売上や客層を日報へ記録し続けることで、欠品や廃棄を防ぐような在庫管理、スタッフのシフト調整にも役立ちます。人気商品に関する情報を分析すれば、今後の商品やメニュー開発のヒントが得られるでしょう。
その日の天候
飲食店は、その日の天候でも売上を左右します。自分がお店で食べる時に、天候に左右されるのを感じた経験がある方もいるでしょう。日報に天気を記載しておけば客足が鈍る日を予想でき、お得なサービスを行って来店を促すような工夫を行えます。また、来店されるお客様を考えた場合、足元が悪い日には足元を気遣った対策も用意できていれば競合店との差別化になります。
クレーム内容
飲食店は接客業である以上、営業していればいつかクレームを受けることがあるでしょう。
店舗側からすれば対応が手間に思えてしまうものですが、内容や対応を日報に詳細に記録して前向きに受け止める姿勢が大切です。クレームに対してどのような対応を行ったかを記録して入れば、万が一おなじようなトラブルが生じてしまった際の対策に役立ちます。クレームを伝えてきたお客様へ真摯に対応することはもちろん、解決して終わりにしてはいけません。
クレームの事実はすべてのスタッフへ周知し、今後の店舗運営に役立つ形で記録しましょう。
売上日報で分かる項目

日報と売上日報を差別化するためにも、売上日報ではどんな内容を書いているのか把握しておきましょう。売上日報には、主に以下のような項目を書きます。
- その日の目標(1日の売上目標額など)
- その日の成果(1日の売上金額、客数など)
- レジから出した経費などの支出額
- 買掛仕入や現金仕入
- 現金在高
- 銀行預入額
- 送金額
- 良かった点(お客様対応に関するものが中心)
- 改善すべき点(クレームも含め、お客様対応に関するものが中心)
- 翌日の目標(これまでの実績を参考に、具体的な売上金額の目標値など)
飲食店が日報をつけるメリット

店舗の収益を考えれば、売上日報のみでよいと考えるかもしれません。飲食店が売上日報とは別に日報をつけることに、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、日報をつけるメリットを紹介します。
データを分析することで運営に役立つ
店舗の規模によらず、飲食店の今後の店舗運営や迅速な経営判断には、データ分析が鍵となります。昨今のコロナ禍では、消費動向や市場環境が大きく変わりました。感染防止対策やデリバリーサービス、テイクアウトにも力を入れたことで、オンライン注文システムの導入や、店舗運営に関わるもののオンライン化が増えています。
市場環境の変化が激しい今は、店舗管理システムや売上管理システムなどのツールによるデータ管理が有効です。
商品開発や改善につながる
飲食店であれば定期的に新商品開発を行ったり、現在提供しているメニューに改良を加えたり、提供できる販売数量の調整などを行います。
日報には、時間帯ごとの商品の売れ行きやお客様からの声、その日の天候などを書いていきます。良い評価もクレームも含め、お客様からの声は売上からは見えてこない貴重な情報です。何か思うところがあっても、店舗側に伝えてくれるお客様の割合は多くないでしょう。アンケートなど直接的な施策を行わない限り、自分たちが提供するものや店舗に対するフィードバックを得るのは容易ではありません。
寄せられた内容を参考にメニューを見直せば、より良いメニューに改良できる可能性が高まります。
スタッフのスキル向上につながる
店舗のスタッフには、さまざまな年代やライフスタイルの方が勤めているでしょう。経験年数に差が出ることは避けられませんが、お客様からすれば新人もベテランもすべてのスタッフが「お店の人」です。
そのため、お客様に対するスタッフの接遇はできるだけ均一となるよう努めなければいけません。例えば、お客様と接するホールスタッフの間でお客様への提案方法を共有することは、スタッフ間のスキル向上に効果的です。一組当たりの客単価を少しでも上げられれば、店全体の売り上げは大きく変わってきます。店舗での実務以外にも、日報をスタッフに書いてもらうことは、意識の面で本人のスキル向上の機会となります。
もしスタッフが日報を書く場合は、ホスピタリティを養うためにも、接客上でお客様に対して行った配慮や工夫に対する反応などを自分の言葉で書いてもらうとよいでしょう。
日報を記載する際のポイント

具体的に記載し分析する
飲食業に限らず、日報の構成は大きく「業務内容」「所感」の2つです。後から振り返ることを想定し、なるべく具体的に記載します。業務内容と所感では、それぞれ以下のポイントを押さえましょう。
- 箇条書きで、簡潔な文章にまとめる
- 5W1Hを意識した体裁
- 誰が見ても同じ理解となるよう、文章には数字や固有名詞を用いる
【所感】
- 箇条書きで、50字程度ずつ2文を目安とする
- 感想文になってしまうのを防ぐため、「~と思いました」の文末を避ける
- 指導者への感謝や、明日以降の抱負の一文を添えるとなお良い
売上日報だけでは分からない内容を記載する
店舗運営や収益面を考えた場合、日報には売上や売上日報からは分からない内容を書くのがポイントです。
シフト制の店舗ならば、日中と夜間で働くスタッフが異なる場合もあります。しかし、客数や客層が違っていてもその日の売上自体は同じです。日報を書くスタッフに対しては、提供、販売した商品の中で定番や人気商品に注目してもらい「販売数量は多いが売れ残りが目立つ」「キャベツやご飯などおかわり自由のものを頼むお客様が多かった」など、販売数から分からない内容を書くようアドバイスするのがおすすめです。
現場でしか分からない「気付き」を記録する
お客様に対する接客に注目すれば、先述と同じ時間帯による客数や客層の違いから同じ店舗でも一日の中でさまざまなお客様が来店します。
提供しているメニューに関するもの以外にも、お客様の雰囲気や店舗自体に関する気付きは、今後の店舗運営に対する有益な情報です。スタッフ間での情報共有目的からも、現場で働くスタッフに対して何か気付いたことや気になることがあれば、積極的に日報へ書いてもらうのが効果的です。
気付いたことを書くだけでは感想になってしまうため、「物事に対して、心中に思うことや考え」といった所感を書くようにしましょう。
スタッフの負担とならないようにする
スタッフに対しては、日報を書くのが負担になりすぎないような配慮が欠かせません。
項目や内容により多くの情報を書いてもらうよう求めれば、有益な情報は得られてもスタッフに相当な負担を課すことになります。書く内容はできるだけ小さくまとめ、日報を重視するのであれば日報作成の時間をきちんと確保するようにしましょう。
アプリやツールを活用する
日報をExcelや紙ベースで管理する店舗もありますが、日報を店舗運営に有効活用することを考えれば日報アプリの導入を検討してはいかがでしょうか。
日報アプリならば作成時間を短縮でき、日報管理の手間も減らせます。アプリの場合、パソコン以外にもスマートフォンなどモバイルツールからアクセス可能です。日報に関しても標準的なテンプレートが搭載されているため、細かな項目などの調整も適宜行えます。
アプリを導入して日報をデジタル化すれば、売上も一元管理できるのが強みです。
\日報ツールの導入事例を紹介!/
日報ツールの導入で、業務効率化と利益増加につながった企業の事例はこちらで紹介しています。日報の提出だけで業務状況のデータを見える化したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
日報を確認する際のポイント

店舗の規模や体制にもよりますが、従業員が記入した日報を上司が確認するケースもあります。今後の営業や提出された日報を飲食店のメンバー全員で活用するためにも、日報は次のようなポイントを中心に確認していきましょう。
日報での叱責は控える
お客様からのクレームや対応など、スタッフを指導する側からすればスタッフを叱責したくなるケースもあるかもしれません。しかし、日報での叱責は控えるのはもちろん、アドバイスする場合も自身の経験を基に伝えるよう心がけましょう。
提出された日報へのフィードバックを行う
スタッフに日報を書かせる以上、会えなかったり忙しかったりしてもフィードバックをおろそかにしてはいけません。日報を書くスタッフ側からすれば、日報に対するモチベーションはフィードバック次第でもあります。コミュニケーションのきっかけやスタッフ自身が気付いていない成長を促す効果もあるため、フィードバックは忘れずに行いましょう。
日報は「情報資産」という意識を持つ
日報に店舗運営に関する情報が含まれるということは、日報は情報資産であり、十分に管理を徹底する必要があります。売上やお客様に関する内容などの紛失、流出は発生してはいけません。
増え続ける日報を管理するという面でも、日報アプリなど便利なITツールを導入するのがおすすめです。
日報の作成なら「日報くん」がおすすめ!

何かと多忙な飲食店にこそ、日報を書くことや管理の手間は少なくするのがコツです。昨今は便利な日報アプリも数多く出回っており、特にデータベース・クラウド型日報アプリの「日報くん」は非常におすすめです。類似製品と比較しても料金が安価に抑えられており、画面構成もシンプルになっています。
毎日の日報入力や管理に要する情報をオンラインで自動的に収集してくれる他、手間をかけずに実際の店舗実務と正確な情報を集められます。
まとめ
今回は飲食店における日報の必要性、売上日報との違いや店舗運営に有効活用する取り組みを中心に解説してきました。オーナーやスタッフは日々の実務に追われているからこそ、今後の店舗運営に有益な情報を手間暇かけずに収集、管理できる体制を整えてかなければなりません。
紹介した「日報くん」では無料トライアルも実施しています。市場の変化や流行が激しい飲食業界店舗にこそ、まずはトライアルを通じて実際の使用感を試されてはいかがでしょうか。