
仕事の内容や結果を記録する日報は、自分の仕事の振り返りや上司への報告、チームワーク、取引先との関係強化などに役立ちます。しかし、日報の作成は法律で義務付けられているのでしょうか。また、作成後の日報はどのように管理すればよいのでしょうか。
この記事では、日報に関する法律や業種の違い、日報管理のポイントについて解説します。

作業日報の作成は義務?

日報とは、その日の業務内容や結果を記録する書類のことです。自分の仕事の振り返り、上司への報告、チームワーク、お客様へのアピールなど、日報を作成するメリットはたくさんあります。
しかし、日報の作成は法律で義務付けられているのでしょうか?答えは業種・業態によって異なります。
一般的には、日報そのものは法律で義務付けられていませんが、日報に記載すべき事項が法律で定められている場合があります。例えば、建設業に関する法律には、業務日報を作成しなければならないという規定はありません。
しかし、法律上、建設会社は労働者に対して法令に違反しないように指導し、是正のために必要な指示をすることを労働安全衛生法第29条にて義務付けられています。
建設業に属する事業の元方事業者は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。
e-Gov「労働安全衛生法-第29条」
作業日報は、そのような指導や指示が適切に行われていることの「証拠」となるのです。
このため、多くの会社では、実務上の義務(社内義務)として作業日報が作成されています。
作業日報を作成する目的とは?

作業日報の作成には以下のような目的があります。
労務管理
日報には、仕事の開始・終了時刻、内容、結果、問題点などを記録します。これにより、自分の働き方や労働時間を振り返ることができるのがメリットです。また、上司や管理職は日報を見ることで、部下や従業員の働き方や労働状況を把握することができます。
過重労働や不適切な働き方を防止し、健康や安全を維持するためにも重要です。
コスト管理
日報には、自分の仕事にかかった時間とコストも記録されます。これにより、作業の効率性や費用対効果を評価することができるのがメリットです。さらに、元請け業者や発注者は、日報を見て現場全体の工数やコストを管理することができます。
これは、工事を予算通り、時間通りに進めるために必要なことです。
利益の向上
日報には、仕事の目標と結果も記録されるため、作業の質や改善点をチェックすることができます。また、上司や管理者は日報を確認することで、部下や従業員の仕事を評価し、フィードバックすることができます。
こうした流れを踏むことでスキルアップやモチベーションアップにつながることでしょう。コスト削減と品質向上は、利益向上に直結します。
トラブルの防止
作業日報を作成することで、トラブルを未然に防ぐこともできます。例えば、建設会社の作業日報には現場の工事内容や進捗状況を記載する欄があります。この欄を利用することで工事スケジュールを事前に把握することができ、危険箇所や問題点を洗い出すことが可能になるでしょう。
また日報を見て事前に話し合い、対策を講じることで、事故やトラブルの防止にも繋がります。
作業日報の書き方

業務日報には決まった書式があるわけではなく、会社によっても異なります。しかし、以下の点に注意して業務日報を書くことが大切です。
業務内容の報告
業務日報では、業務内容を明確に報告するようにしましょう。初めて業務日報を書く場合は、時系列で記載することをお勧めします。
読み手にわかりやすい文章にするために、ビジネス文書では5W1H(いつ、どこで、誰が、何のために、どのように)を意識するとよいでしょう。
業務内容の報告を書く際のポイントは以下の3つです。
- 何をしたか
- どのくらい時間がかかったか
- 進捗状況
これらのポイントを時系列で箇条書きにし、簡潔に書くことが大切です。
また、具体的な数値を記載することも重要です。例えば、テレアポの件数や所要時間など、具体的な数字を記載することで、上司や経営者が読んだときに客観的な情報が伝わりやすくなります。
感想の記入
業務日報には、必ずその日の仕事の感想を記入します。これは、その日の仕事に対する自分の考えや感想を述べるためです。業務日報を受け、自分なりに深く掘り下げて観察し、その結果を分析し、改善策を提案しましょう。このような業務日報を書くことで、社内での情報共有が可能になります。
会社全体として仕事の状況を把握できるだけでなく、社員一人ひとりがお互いの仕事を確認し、課題を共有し、競争意識を高めることにもつながるでしょう。
業務日報を書く前にはその日の内容を整理し、スムーズに記載できるように準備しておくことをおすすめします。
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作業日報の保管期間

ここでは、製造業、建設業、運輸業を例として、作業日報の保存期間について解説します。
製造業の場合
製造業では、作業日報が安全衛生委員会の議事録などの書面類に該当する場合があります。労働安全衛生規則により、安全衛生委員会の議事録等の書面は3年以上の保存が義務付けられています。
したがって、製造業における作業日報も3年以上の保存が必要です。
建設業の場合
建設業では、作業日報が帳簿書類を兼ねている場合があります。建築物衛生法第10条では帳簿書類の保存を義務付けており、東京都健康安全研究センターでは保管期間を5年以上と定めています。
特定建築物所有者等は、厚生労働省令の定めるところにより、当該特定建築物の維持管理に関し環境衛生上必要な事項を記載した帳簿書類を備えておかなければならない。
e-gov「建築物衛生法」より
したがって、建設業における作業日報は、少なくとも5年間は保存しなければなりません。
運輸業の場合
旅客自動車運送事業運輸規則第26条によると、
一般旅客自動車運送事業者及び一般貸切旅客自動車運送事業者は、運行記録計を用いて車両の瞬間速度、走行距離及び運行時間を記録し、1年間保存する義務
e-gov「旅客自動車運送事業運輸規則」より
があります。
したがって、運輸業における作業日報は、少なくとも1年間は保存しなければなりません。
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作業日報の保管期間を過ぎたら?

日報には保管期限が定められていますが、保管期限経過後の処理については明確なルールがありません。
そのため、専門業者を利用して処分する企業もあれば、必要に応じて保管し続ける企業もあるでしょう。会社がルールを定めている場合は、それに従ってください。ただし、保管期限を過ぎても書類が溜まり続けると、オフィススペースを圧迫しかねません。倉庫の容量にも限りがありますので、注意が必要です。
紙文書については、必要なものだけをスキャンしてデータ化し、廃棄するなどの方法を検討することをお勧めします。データ化することで検索しやすくなり、手作業で紙を探す手間が省けます。
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紙の日報を廃止することで、集計漏れによる損失が減少した企業の事例はこちらでご紹介しています。
作業日報の管理で注意すべき3つのポイント

日報管理で大切なのは次の3点です。
管理場所を細分化しすぎない
管理場所を細分化しすぎると、書類の分類や検索に手間がかかります。チェックしやすいように、ファイルは大まかなカテゴリー設定で管理しましょう。例えば、「プロジェクトA」「プロジェクトB」「その他」といったフォルダ分けで十分です。
細かいサブフォルダを作ってしまうと、あとでファイルを探すのに苦労するかもしれません。
定期的な棚卸し
棚卸しによる定期的な確認作業を確立することで、日報の整理整頓に役立ちます。棚卸しで重要なポイントは、各文書の保存期間を正確に把握・分類することです。例えば、「1年以内」「1年以上3年以内」「3年以上5年以内」「5年以上」といった保存期間ごとに分類しておくと、廃棄すべき書類が一目瞭然です。
また、棚卸しは業務が一段落した月末や年度末に行うようにしましょう。
ツールで日報を電子化
日報ツールを使って日報を電子化すれば、作成・共有の手間や印刷コストを削減できます。時間や場所に関係なく文書にアクセスできるようになります。また、日報に記載された情報の共有が容易になることもポイントです。日報ツールの多くは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で簡単に操作できます。
例えば日報ツールは、「プルダウン選択機能」「検索機能」「自動集計・グラフ化機能」など、便利な機能が特徴です。このような日報ツールを導入することで、紙の書類管理から解放されるだけでなく、日報の質・活用度も向上します。
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シンプルな画面はだれでも簡単に操作でき、プルダウン選択なので日報記入時間も大きく短縮できます。毎日の日報の記入が工数管理に繋がるため、人工管理・予実管理の集計もラクラクです。
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まとめ
この記事では、作業日報が法律で義務として定められているのかについて解説しました。
日報自体は法律で義務付けられているものではありません。しかし、日報の記載事項や保管期間が法律で定められている場合もあります。その場合は、業種・業態に応じた適切な書式・内容の日報を作成する必要があります。
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