DXが進まない理由は?解決策や成功事例もあわせて解説

DXが進まない理由は?解決策や成功事例もあわせて解説 お役立ち情報

DXはデジタル技術を活用して新たな価値を創造し、競争力を高めるための重要な戦略のことです。昨今のデジタル技術の進化にともなって、その重要性はますます増しています。

しかし、日本では既存システムの存在や予算不足など、さまざまな要因でDXが進んでいないのが実態です。

このような状況を踏まえ、自社でDXを進めるために、進まない理由や成功事例をもとに、企業や組織に合ったアプローチが大切です。

本記事では、DXが進まない理由について、解決策や成功事例も交えて解説します。

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【結論】日本での「DX化」はまだまだ進んでいない

経済産業省の調査によると、会社全体でDXに取り組んでいる企業は全体の約3割にとどまっています(※)。なかでも製造業では約8割の企業がDXに取り組んでいる一方、全社戦略にもとづいた取組みが不足しているため、実際の成果は伸び悩んでいるのが実態です。

加えて、「DX推進に必要な人材がいない」と答えた企業は40%以上、「予算が不足している」とする企業も約30%という結果が出ています(※)。

このような点をまとめると、日本での「DX化」はまだまだ発展途上と評価することが可能です。DXへの取組みの量は増えても、組織全体での実効性ある推進には課題が多いのが現状といえるでしょう。

(※)出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025(データ集)」

DXが進まない10の理由

DXが進まない背景には、さまざまな理由が存在していることが挙げられます。たとえば、経営層の知識が不足していたり、DXに対応できる人材が少なかったりといった問題点が存在します。

このようなDXが進まない理由は、DXを実現できていない多くの企業にあてはまる問題です。そのため、それぞれの理由や対策を理解しておくことで、効果的なDX施策の検討が可能となります。

ここでは、DXが進まない理由について、以下10点を解説します。

①経営層の知識が不足している

DXは単なるIT導入ではなく、ビジネスモデル自体の変革を目指す取組みです。そのため、組織の中心といえる経営層が、DXの内容を正しく理解し、全社的な推進を主導する必要があります。

しかし、経営層がDXの本質を把握していない場合、投資対象や優先順位を誤り、現場に一貫したビジョンを示せない状態になりかねません。

このような事態を防ぐためには、経営層向けのDXリテラシー研修や外部専門家との勉強会を定期的に実施し、正しい認識を経営層から浸透させるのが有効です。

②人材が不足している

DX推進には、データ分析やシステム設計、AIの活用など、高度なデジタルスキルを持つ人材が欠かせません。

ただ、昨今では、DX人材の需要は急増しており採用競争が激化しているため、多くの企業では必要なスキルをもつ人材の確保が困難な状況です。

このような課題を解消するためには、まずは社内人材のリスキリングを推進し、デジタルスキルの底上げを図ることが現実的な対策となります。

③既存システムが足かせとなっている

企業のITシステムは業務効率化やデータ管理など、日々の事業運営を支える基盤として機能しています。

しかし、長年にわたって蓄積された既存システムは、新たなデジタル技術との連携が難しく、老朽化による維持・管理コストの増大がDX投資に回せる予算を圧迫するのが実態です。

このような状況を打破するためには、段階的なシステム刷新計画を策定し、クラウドへの移行やマイクロサービス化を進める必要があります。

④予算が足りていない

DXにはシステム開発やツール導入、人材育成など、推進の各段階で一定の投資が必要です。

そのため、小〜中規模の投資ではDXへの費用対効果が見えづらく、投資判断が後回しになりやすい傾向があります。

このような状況を避けるためには、まず小規模な実証実験から始め、投資リスクを抑えながら成果を可視化するアプローチが有効です。

⑤現場でDXに対する抵抗がある

DXは既存業務の効率化や新たな価値創出を目的とした取組みであり、現場の働き方を支援するものです。

しかし、DXを推進したことによって、業務が変わってしまったり、仕事が奪われてしまったりといった現場での抵抗感につながっている実態も存在します。

DXを推進するためには、変化のメリットを丁寧に伝え、現場が小さな成功体験を積める環境をつくることが求められます。

⑥DXの目的や効果が曖昧

DXは業務効率化や新規事業創出など、目的によって取るべき手段が大きく異なります。

このような性質があることから、目的が曖昧なまま着手してしまった場合、実施する施策が分散してしまい、具体的な成果が挙げられなかったり、投資対効果の検証ができなかったりします。

上記を踏まえ、DXの取組みを始める前に、自社のDXゴールを明確に定義し、KPIを設定することが欠かせません。

⑦既存事業で忙しい

DXは中長期的な視点で組織変革を進める取組みであり、日々の事業運営と並行して推進することが求められます。

しかし、短期的な売上確保を優先するあまり、変革に充てるリソースが不足し、後回しにされがちです。

このような状況を打開するためには、DX推進専任チームや専任担当者を設置して既存業務との分離を図ることが有効です。

⑧ベンダー企業に依存している

企業がITシステムの構築・運用を外部ベンダーに委ねること自体は、専門性を補う手段として一定の合理性があります。

しかし、このような依存関係が続いてしまうと、自社にデジタル技術のノウハウが蓄積されず、自社主導でのDX推進が難しくなります。

上記のような状況を改善するためには、内製化を段階的に進め、社内にデジタル技術を理解する人材を育成する必要があるでしょう。

⑨データ活用の仕組みが整っていない

DXを推進するうえで、データは意思決定や業務改善の基盤となる資産です。

しかし、部署ごとにデータが分散し、一元管理できていない状態では、デジタル技術を活用した意思決定が難しくなります。

このような課題を解消するためには、まずデータの所在を把握し、社内データ基盤の整備を優先することが出発点となります。

⑩業務プロセスが整理されていない

業務プロセスは、組織が日々の業務を円滑に進めるための手順や流れを定めたものです。

しかし、既存の非効率な業務プロセスが整理されないままデジタル技術を導入すると、「デジタル化した非効率」になるリスクがあります。

このような事態を防ぐためには、導入前に現状の業務フローを可視化し、不要なプロセスを削除・標準化することが欠かせません。

DXを進めるために必要な5つのポイント

DXを進めるためには、いくつかの重要なポイントをおさえる必要があります。自社のデジタル活用状況や課題を把握することで、取るべき施策の方向性が明確になります。

こうした整理を踏まえてアクションプランを設計すれば、DXをより効果的に進めることが可能です。

ここでは、DXを進めるために必要なポイントについて、以下5点を解説します。

①DX推進の目的を明確に設定する

DX推進の目的が曖昧なまま着手すると、取組みが分散して成果に結びつきにくくなってしまいます。

このようなことから、業務効率化や顧客体験の向上など、自組織が解決すべき課題と紐づけてDXの目的を定めることが大切です。目的を明確にすることで、施策の優先順位が明確になり、組織全体の推進力を高められます。

②経営層が率先して取り組む

DXは経営層が主体的に関与することで、組織全体の方向性が統一されやすくなります。

このようなことから、経営層がDXの方針や投資判断を主導し、全社に明確なビジョンを示すことが大切です。経営層が積極的に取り組むことで、現場の理解と協力を得やすくなり、全社的な推進体制の構築につながります。

③組織に適したデジタルツールを導入する

組織に適したデジタルツールを導入することで、現場での活用が進みやすくなります。

このようなことから、業務内容や社員のITリテラシーに応じたツールを選定することが欠かせません。適切なデジタルツールを導入することで、現場への定着が進み、業務効率化や生産性向上につながります。

④PDCAサイクルを実施する

DXは、継続的に改善を重ねることで成果につながる取組みです。

このようなことから、計画・実行・評価・改善のサイクルを回し、施策の効果を定期的に検証することが必要です。PDCAサイクルを実施して改善を積み重ねることで、施策の精度が高まり、DXの成果につながります。

⑤進捗状況を定期的に評価・改善する

進捗状況を定期的に把握することで、DXの取組みを安定して推進しやすくなります。

このようなことから、KPIを設定して達成状況を継続的に評価することが大切です。進捗状況の定期的な評価結果をもとに施策を見直すことで、方向性を維持しながら改善を続けられます。

DXの導入で成功をおさめた事例5選

DXは単なるデジタル化ではなく、業務効率化や新たな価値創出を実現するための重要な手段です。そのため、組織全体でDXを進めることで、業務プロセスの最適化が進み、コスト削減や顧客満足度の向上といった成果を挙げることが可能です。

ただ、このようなメリットを十分に引き出すためには、自社の業界特性や組織規模に応じて、適切な施策を選択する必要があります。

ここでは、DXの導入で成功をおさめた事例について、以下5点を解説します。

①トヨタ

トヨタ自動車では、熟練技能者の経験や勘に依存した属人的な製造体制が課題となっており、品質の安定化とプロセス効率の向上が急務でした。

このような課題に対し、2021年1月に「デジタル変革推進室」を設立し、7万人超の社員を対象としたデジタル人材育成を開始しています。この取組みによって、設備保全にかかる作業時間が「平均16分」から「7分」と約6割削減され、生産性の向上にもつながっています。

上記の事例は、デジタル人材の育成を通じてDXを推進している点が特徴的な事例といえるでしょう。トヨタのように全社的に教育体制を整備・構築できれば、DX推進の基盤を大きく固められるようになります。

参考:トヨタ自動車「デジタル変革推進部とCX CENTER」

②第一三共

第一三共株式会社では、従来の創薬プロセスでデータが部署ごとに分散しており、研究開発の生産性向上が課題となっていました。

こうした背景から、2020年4月にDX推進ユニットを立ち上げ、社内外のデータを一元管理・分析する統合データ分析基盤(IDAP)を構築しました。この基盤構築によって、サーバー運用コストを約50%削減し、IT要員のリソースをDX施策へ集中できる体制を実現しています。

上記の事例はデータの一元管理によって、業務効率化と意思決定の高度化を実現している点が参考になるポイントです。部署・チーム単位で培った知識やノウハウといった分散した情報を統合することで、DX推進の土台強化が期待できます。

参考:第一三共株式会社「DX – データと先進デジタル技術の活用」

③ワークマン

ワークマンでは、在庫管理を社員が店舗に直接出向いて数えるアナログな方法に頼っており、需要予測の精度不足が業績の課題となっていました。

このような課題を受けて、2012年からExcelを活用したデータ活用研修を全社員に実施し、社員の35%がExcelで分析ツールを自作できる環境を構築しました。その結果、11期連続で最高益を更新する成果につながっています。

このような事例は、現場主導でデータ活用を浸透させている点が評価できるポイントです。日常的な業務をデータ化し、活用することで、DX推進の実効性向上が見込めます。

参考:バックオフィス進化論「現場の自由な発想を引き出すDXとは ワークマンを躍進させた「草の根データ分析」」

④静岡銀行

静岡銀行ではIT企画や経営企画などの非定型業務において、専門性の高さからデジタル化が進まず、業務効率の改善が課題となっていました。

こうした背景のもと、生成AIを活用した対話型ツールを導入し、IT戦略の立案や企画業務の支援体制を構築しています。この取組みによって、IT企画部門の負担軽減に加え、IT戦略の企画立案の高度化にもつなげています。

このような静岡銀行の事例は、生成AIを活用して高度業務の効率化を実現している点が特徴です。業務特性に応じてAIを活用することで、意思決定や企画業務の質の向上に寄与しています。

参考:静岡銀行「生成AIを活用したIT企画業務の高度化・効率化の実証実験を開始」

⑤有限会社 東秀興業

有限会社 東秀興業では、紙の日報の記入を面倒がる社員が多く、人工計算も手動でおこなっていたため、管理担当者に大きな負担がかかっていました。

このような状況を受け、クラウド型の日報管理システム「ビヨンド日報くん」を導入し、日報作成や作業時間の把握をデジタル化しています。このツールによって、短時間での入力が可能となり、日報提出の定着と管理業務の効率化を実現しています。

上記の事例は、現場に適したツール導入によって、業務負担の軽減を実現している点が特徴です。自社の課題やニーズに適したデジタルツールを選定することで、現場への定着と業務効率化につなげられます。

関連記事:ビヨンド日報くんコラム「【導入事例】有限会社 東秀興業(建設業)」

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DXを進めるために取り組むべきことは?

DXを進めるためには、具体的な行動にもとづいた取組みが大切です。たとえば、自社の課題を明確にするために、現状を分析するツールや外部業者の依頼などが挙げられます。

上記のような点を踏まえ、「今からできることは何か?」や「どのように検討すれば良いのか?」を理解することが大切です。

ここでは、DXを進めるために取り組むべきことについて、以下3点を解説します。

①現状を分析して課題を特定する

DXの出発点は、自社の現状を正確に把握することです。現状を把握することで、課題の優先順位が整理され、効果的な施策を選定しやすくなります。

上記の点を踏まえ、現在の業務フロー・システム・データ管理の状況を分析し、1つのデータにまとめることが大切です。データとしてまとめることで、優先して取り組むべき課題が明確になります。

②DX推進に必要な人材を育成する

DXを推進するためには、デジタル技術を扱える人材が必要不可欠です。仮に、利便性の高いツールを導入できたとしても、扱える人材がいない場合には意味がないためです。

このような点を踏まえ、既存社員に対する教育やリスキリングを通じて、組織全体のデジタルスキルを底上げすることが大切です。社内の人材育成を進めることで、現場での実行力が強化され、DXの定着にもつながります。

③外部パートナーと連携する

DXを推進したい場合、社内の体制だけでなく、外部からの意見を取り入れるのも有効な手段の1つです。

とくに、DX推進に特化しているコンサルタントであれば、専門的な知見やノウハウを取り入れることが可能です。外部の知見を活用することで、DXの推進体制を強化しながら効率的に取組みを進められます。

【まとめ】組織内の体制を整えたうえで、DXを推進しよう

本記事では、DXが進まない理由について、解決策や成功事例も交えて解説しました。

「DX」という言葉が提言されてまだまだ年月は経っていませんが、デジタル技術は目覚ましい進化を遂げています。このようなデジタル技術を活用しないまま、現状に甘んじてしまうと、企業として成長が止まるだけでなく、事業運営が停滞してしまう事態になりかねません。

上記を踏まえ、まずは「自社でどのようなDXができるのか?」を考えることから始めてください。

DXは日常業務の小さなところからでも始められます。たとえば、「ビヨンド日報くん」は、日々の日報作成を簡単にするだけでなく、一元的な管理を可能としてくれます。

このように小さな改革から進めるのも、DXに取り残されないための対策になります。

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監修
yama13

yama13
慶應義塾大学卒。2020年より中小企業の経理業務に従事。現在は経理と並行してマーケティング領域も担当し、数字に基づく経営状況の分析を得意とする。実務視点と戦略的な思考を活かし、現場に即した改善提案を行っている。