マネジメントとは?意味や必要な能力をわかりやすく解説

業務効率化

マネジメントとは、組織の目標達成に向けて、人材や資金などの経営資源を最大限に活用すること。優れたマネジメントによって、組織は効率的に運営され、高い成果を生み出すことができます。

本記事では、マネジメントの意味や業種・方法別のマネジメント、必要な能力やマネージャーの選び方について詳しく解説していきます。

  1. 「マネジメント」とは経営資源の最大活用
    1. 「管理」・「経営」との違い
    2. ドラッカーの定義した「マネジメント」とは
    3. 「マネジメント」が必要な理由
  2. 「マネジメント」の業務内容
    1. 部下のモチベーション管理
    2. 適切な目標の設定
    3. 的確な指導・教育による育成
    4. 評価・フィードバックの実施
    5. チーム・部門の組織
    6. リスクマネジメント
  3. 業種別の「マネジメント」
    1. エンジニアの「マネジメント」
    2. 営業職の「マネジメント」
    3. 看護・介護職の「マネジメント」
  4. 業務・方法別の「マネジメント」
    1. 組織運営に関するマネジメント
      1. チームマネジメント
      2. プロジェクトマネジメント
      3. ナレッジマネジメント
    2. 人材に関するマネジメント
      1. タレントマネジメント
      2. モチベーションマネジメント
      3. パフォーマンスマネジメント
    3. メンタルヘルスに関するマネジメント
      1. メンタルヘルスマネジメント
      2. ストレスマネジメント
      3. アンガーマネジメント
  5. 「マネジメント」に必要な能力
    1. 決断力
    2. コミュニケーション能力
    3. 状況把握能力
    4. テクニカルスキル
  6. 「マネジメント」能力を向上させる方法
    1. 研修・セミナーの受講
    2. 資格の取得
    3. 書籍でのインプット
  7. 「マネジメント」に向いている人は?
    1. 責任感を持って仕事をしている
    2. 業務・業界への専門知識が豊富
    3. 他人のことをよく見ている
  8. マネージャーの選び方
    1. 経営幹部・管理職の推薦
    2. 人事による推薦
    3. 試験・適性検査による選抜
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「マネジメント」とは経営資源の最大活用

マネジメントとは、組織が目標を達成するために、人材、資金、設備、情報などの経営資源を効果的かつ効率的に活用すること

例えば、優秀な人材を適材適所に配置し、その能力を最大限に引き出すことや、資金を適切に分配し、投資対効果を最大化することなどが、マネジメントの具体例として挙げられます。

「管理」・「経営」との違い

マネジメントは、しばしば「管理」や「経営」と混同されますが、これらの概念には違いがあります。

以下の表で、それぞれの特徴をまとめてみました。

概念特徴
管理現状を維持・統制し、業務を円滑に進めること
経営組織の将来像を描き、目標を設定すること
マネジメント目標達成に向けて、資源を最適に配分・活用すること

つまり、管理は現状維持を、経営は方向性の決定を、マネジメントは目標達成のための資源の最適活用を主な役割としているということ。

マネジメントは、管理と経営の両方の要素を含む、包括的な概念だと言えます。

ドラッカーの定義した「マネジメント」とは

経営学者のピーター・ドラッカーは、マネジメントを「組織をして成果をあげさせるための道具、機能、機関」と定義しました。

これは、マネジメントが組織の目的達成のための手段であり、その役割は組織の成果を最大化することにあるという考え方を示しています。

ドラッカーの定義を深堀りすると、マネジメントには以下のような役割があると解釈できます。

  1. 組織の目標を明確にし、その達成に必要な戦略を立てる
  2. 戦略を実行するために、人材や資金などの資源を最適に配分する
  3. 組織の活動を監督・調整し、目標達成に向けて軌道修正を行う
  4. 組織の成果を評価し、次の目標設定や戦略立案に反映させる

つまり、マネジメントは組織の目的達成のためのPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回す役割を担っているのです。

「マネジメント」が必要な理由

マネジメントがない組織では、以下のような問題が生じる可能性があります。

  1. 目標が明確でなく、組織の活動が散漫になる
  2. 人材や資金が適切に配分されず、非効率な運営になる
  3. 個人の働きぶりにばらつきが出て、組織全体の生産性が低下する
  4. PDCAサイクルが機能せず、継続的な改善が行われない

結果的に、組織は十分な成果を上げられず、競争力を失ってしまうでしょう。

例えば、販売目標を達成するために、営業部門に優秀な人材を集中的に配置したり、広告宣伝に資金を投入したりするのは、マネジメントの役割。

マネジメントは組織の PDCAサイクルを回すことで、継続的な改善も促します。売上が伸び悩んでいる場合、その原因を分析し、販売戦略の見直しや商品開発の強化など、必要な施策を講じるのもマネジメントの仕事です。

また、マネジメントを適切に行わなければ組織の規律が乱れてしまいます。内閣官房内閣人事局が公開している「管理職に求められる マネジメント行動のポイント」では管理職は部下の責任感や倫理感の醸成にも貢献すべきだと規定されています。

さらに、内閣官房内閣人事局が公開している同上のテキストでは、マネジメントは部下に行わせる職務を具体化した上で割り振り、その達成を支援する行動である「ジョブ・アサインメント」を行わなければならないとされています。

参照:管理職に求められる マネジメント行動のポイント

「マネジメント」の業務内容

マネジメントの主な業務内容は以下の通りです。

  • 部下のモチベーション管理
  • 適切な目標の設定
  • 的確な指導・教育による育成
  • 評価・フィードバックの実施
  • チーム・部門の組織
  • リスクマネジメント

部下のモチベーション管理

部下のモチベーションを高めることは、マネジメントの重要な役割の一つ。

ミシガン大学教授・行動科学者のリッカートも、社員のモチベーション管理に必要なのは「参加を通じての開発、報酬制度にもとづいた経済的報酬、目標設定、方法改善、目標への進度の評価などにおける集団的参加と関与」だと説いています。

つまり、部下を意思決定に参加させ、その成長を支援することや、適切な報酬制度を設計すること、目標設定や進捗評価に部下を関与させることが、モチベーションを高める上で重要だということ。

マネジメントは、こうした参加型の管理手法を取り入れ、部下の主体性を尊重しながら、そのモチベーションを引き出していく必要があります。

参照:「日本的経営」 とモラール・モチベーション管理

適切な目標の設定

マネジメントは、組織の目標を設定し、その達成に向けて部下を導く役割を担っています。適切な目標設定は、部下のモチベーションを高め、組織の成果につながります。

目標は、具体的で測定可能、達成可能、現実的、期限付きのものであるべきです(SMARTの原則)。
また、組織の mission(使命)やvision(将来像)と整合性があり、部下が納得できるものでなければなりません。

マネジメントは、こうした適切な目標を設定し、それを部下と共有することで、組織の力を一つの方向に集中させ、高い成果を生み出すことができるのです。

的確な指導・教育による育成

部下の育成も、マネジメントの重要な責務。マネジメントは、部下に必要な知識やスキルを教え、その成長を支援しなければなりません。

特に、組織の業務に必要な専門的知識は、体系的に教える必要があります。また、部下の個性や能力に合わせて、きめ細かな指導を行うことも大切です。

マネジメントが的確な指導・教育を行うことで、部下は着実に成長し、組織の戦力として活躍できるように。組織の持続的な発展にとって欠かせない要素だと言えるでしょう。

評価・フィードバックの実施

マネジメントでは、部下の業績を評価し、適切なフィードバックを行う必要があります。評価とフィードバックは、部下の成長と組織の目標達成に欠かせない取り組みです。

上司からのフィードバックと働きやすさについてのグラフ
画像出典:第2-(2)-10図 上司からのフィードバックと働きやすさについて

厚生労働省の調査によると、上司からのフィードバックの頻度が高いほど、働きやすさを感じる社員の割合が高くなっています。
具体的には、毎日フィードバックを受けている社員の43.5%が職場を「働きやすい」と評価しているのに対し、フィードバックが実施されない社員では、その割合は27.8%にとどまっています。

また、フィードバックの効果についても、「効果的であった」と回答した社員の43.9%が職場を「働きやすい」と感じているのに対し、「効果がなかった」と回答した社員では、その割合は20.5%にとどまっています。

つまり適切なフィードバックは働きやすさと相関関係がある、ということになります。

上司からのフィードバックと働きやすさについてのグラフ
画像出典:第2-(2)-10図 上司からのフィードバックと働きやすさについて

さらに同調査では効果的なフィードバックとして、今後の行動に関するアドバイス(63.0%)、具体的な行動への称賛(33.6%)や注意(32.4%)、行動の重要性や意義の説明(29.6%)などが挙げられました。

一方、効果的でないフィードバックの特徴としては、内容が充実していない(44.6%)、今後の行動に関するアドバイスがない(39.2%)、フィードバックまでの時間差がある(22.6%)などが挙げられています。

マネジメントは、こうした調査結果を踏まえ、適切な頻度で、具体的かつ建設的なフィードバックを行うことが求められます。

参照:第2-(2)-10図 上司からのフィードバックと働きやすさについて

チーム・部門の組織

マネジメントには、チームや部門を「組織する」という重要な役割があります。

「組織する」とは、目標達成に向けて、人材や資源を最適に配置・統合することを指すと認識しておきましょう。

具体的な業務としては、以下のようなものが挙げられます。

  • チーム・部門の編成と再編
  • メンバーの役割・責任の明確化
  • 業務プロセスの設計・改善
  • 情報共有・コミュニケーションの促進
  • チーム・部門間の調整・連携

マネジメントがチームや部門を効果的に組織することで、メンバーの力を結集し、相乗効果を生み出すことができます。

リスクマネジメント

リスクマネジメントとは、組織の目標達成を阻害する可能性のある事象(リスク)を特定し、その影響を最小限に抑えるための取り組み。

具体的には、リスクの識別、分析、評価、対応策の立案・実行、モニタリングなどを指します。

画像出典:4 リスクマネジメントの必要性

中小企業庁の調査では、リスク管理に関する体制を整備する企業が増えているとされています。
同調査では大企業の85.4%、中小企業の59.6%が、リスク管理を担当する専門部署を設置するか、総務・企画部門等が兼務する形でリスク管理に取り組んでいると分かりました。

リスクの例としては、自然災害、事故・故障、情報漏洩、法令違反、景気変動、為替変動など。これらのリスクが顕在化すれば、組織の運営に大きな影響を及ぼしかねません。

マネジメントは、こうしたリスクを適切に管理し、組織の安定的な運営を確保する必要があります。

参照:4 リスクマネジメントの必要性

業種別の「マネジメント」

マネジメントの具体的な方法は業種・職種によってさまざま。

ここでは、とりわけ特徴的な以下3つのパターンにおいて解説します。

  1. エンジニア
  2. 営業職
  3. 看護・介護職

エンジニアの「マネジメント」

エンジニアのマネジメントには、以下のような具体的な業務が含まれます。

  1. プロジェクト管理(要件定義や工数見積、進捗・リスク管理など)
  2. チームマネジメント(メンバー編成・育成やパフォーマンス管理など)
  3. 技術マネジメント(アーキテクチャ設計、技術選定など)
  4. ステークホルダー対応(顧客対応、社内調整など)

エンジニアのマネジメントでは、プロジェクトを成功に導くために、技術面だけでなく、人や組織、プロセスなど、多岐にわたる要素を総合的にマネジメントする力が求められます。

例えば、メンバーのスキルや特性を見極め、適材適所で配置することや、顧客の要望を的確に捉え、実現可能な形で提案することなどが重要。また、開発が遅延している場合は、原因を分析し、対策を打つことで、プロジェクトを軌道に戻すことも、マネージャーの重要な役割と言えます。

営業職の「マネジメント」

営業職のマネジメントには、以下のような具体的な業務が含まれます。

  1. 営業戦略の立案・実行(市場分析や戦略立案・実行など)
  2. チームマネジメント(目標設定や育成、パフォーマンス管理など)
  3. 営業環境の整備(営業ツール導入やプロセス改善、ナレッジ管理など)
  4. 数字管理(予算・売上・コストの管理など)

営業マネージャーには、市場や顧客のニーズを的確に捉え、それを営業戦略に落とし込む力が求められます。

例えば、新商品の投入に合わせて、セールス手法を変更したり、顧客セグメントごとにアプローチ方法を変えたりするなど、臨機応変な対応が必要です。

売上目標が未達の場合はその原因を分析し、戦略の修正・営業活動の改善などの対策を打つことで目標達成に向けて舵取りをすることも、営業マネージャーに求められる重要な仕事であると言えます。

看護・介護職の「マネジメント」

看護・介護職のマネジメントには、以下のような具体的な業務が含まれます。

  1. 業務管理(シフト管理、業務割り振り、手順の標準化など)
  2. 人材マネジメント(採用・教育、モチベーション管理、メンタルヘルスケアなど)
  3. リスクマネジメント(事故防止、感染対策、緊急時対応など)
  4. 関係者調整(医療連携、家族対応、地域連携など)

看護・介護のマネジメントでは、高品質のケアサービスを安定的に提供するために、人材の育成と定着が特に重要となります。

例えば、新人教育の充実や、スキルアップのための研修機会の提供などを通じて、スタッフの専門性を高めること。過酷な勤務環境の改善や、適切な評価・処遇によって、モチベーションを維持することなども必要に。

また、医療事故や感染症のアウトブレイクなど、人命に関わるリスクが常に存在する現場であるだけに、細心の注意を払ったリスク管理も欠かせません。

マニュアルの整備や、定期的な教育・訓練を通じて、スタッフのリスク感性を高め、万一の場合に備えることが重要です。

業務・方法別の「マネジメント」

マネジメントは業務・方法によって多様な種類が存在。
ここでは、以下に挙げられる代表的な9つのマネジメントについて取り上げます。

  • 組織運営に関するマネジメント
    • チームマネジメント
    • プロジェクトマネジメント
    • ナレッジマネジメント
  • 人材に関するマネジメント
    • タレントマネジメント
    • モチベーション・マネジメント
    • パフォーマンス・マネジメント
  • メンタルヘルスに関するマネジメント
    • メンタルヘルス・マネジメント
    • ストレスマネジメント
    • アンガーマネジメント

組織運営に関するマネジメント

組織運営におけるマネジメントとしては、主に以下の3つが挙げられます。

  1. チームマネジメント
  2. プロジェクトマネジメント
  3. ナレッジマネジメント

チームマネジメント

チームマネジメントは、組織の目標達成に向けて、チームの力を最大限に引き出すことを目的としたマネジメント手法。主に以下のような取り組みが含まれます。

  • 目標設定・共有(チームの目標を設定し、メンバー全員で共有)
  • 役割分担(メンバーの能力や特性に応じて、適切に役割を分担する)
  • モチベーション管理(メンバーのモチベーションを高め、自発的な貢献を促す)
  • コミュニケーション促進(メンバー間のコミュニケーションを活性化し、相互理解と協力関係を築く)
  • 進捗管理(定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて軌道修正を行う)
  • 評価とフィードバック(メンバーの成果や行動を適切に評価し、建設的なフィードバックを行う)

チームマネジメントでは、メンバー一人ひとりの力を引き出しつつ、チーム全体の力に変えていく調整力が求められます。

特に、メンバーの働きやすさを向上させるための具体的な取り組みとして、上司からの定期的なフィードバック(週1回以上)の実施が効果的とされています。

厚生労働省の調査では、毎日フィードバックを受けている社員の43.5%が職場を「働きやすい」と評価しているのに対し、フィードバックが実施されない社員では27.8%にとどまっています。

また、フィードバックの内容も重要。今後の行動に関するアドバイス(63.0%)や、具体的な行動への称賛(33.6%)、行動の重要性や意義の説明(29.6%)などが、効果的なフィードバックの要素として挙げられています。

参照:第2-(2)-10図 上司からのフィードバックと働きやすさについて

プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントは、プロジェクトの目的を達成するために、スケジュール、コスト、品質などを管理するマネジメント手法です。主に以下のような取り組みが含まれます。

  • 目的・目標の明確化(プロジェクトの目的や最終的な到達点を明確にし、関係者で共有する)
  • スケジュール管理(プロジェクトの全体スケジュールを策定し、進捗を管理する)
  • コスト管理(プロジェクトに必要な予算を見積もり、コストオーバーを防ぐ)
  • 品質管理(プロジェクトの成果物が要求品質を満たすように管理する)
  • リスク管理(プロジェクトの遂行を阻害する可能性のあるリスクを洗い出し、対策を講じる)
  • ステークホルダー管理(プロジェクトに関わる様々な関係者との調整を行う)

プロジェクトマネジメントでは、限られた時間と資源の中で、プロジェクトの目的を達成するための計画力と実行力が求められます。

特に重要なのは、早い段階で小さな問題に対処し、プロジェクト全体への影響を最小限に抑えること。

そのために、PMBOKなどの体系的な方法論や、WBS、ガントチャートなどのツールを活用して、プロジェクトの全体像を可視化し、適切にコントロールすることが効果的です。

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントとは、組織内の知識を体系的に識別・創造・共有・活用し、組織全体の知的生産性を高め、価値創造につなげるマネジメント手法。

単なる情報の蓄積ではなく、暗黙知(個人の経験や勘に基づく知識)と形式知(言語化・文章化された知識)を組織的に融合・活用することが重要とされています。

ナレッジマネジメントの目的は、以下の通りです。

  • 業務の効率化・品質向上
  • イノベーションの創出
  • 人材育成の促進

そしてナレッジマネジメントの実行においては、以下のようなアプローチが有効とされています。

  1. 知識の「見える化」
  2. 知識創造の場の提供
  3. 知識活用の評価・報奨
  4. トップのコミットメントと行動

ナレッジマネジメントは、特に知識集約型の業界(IT、コンサル、製薬など)で導入が進んでいます。

ナレッジマネジメントを成功させるには、目的や効果を丁寧に説明し、一人ひとりの行動変容を促すことが肝要。
現場の社員を巻き込みながら、トライ&エラーを重ねつつ、自社に合ったナレッジマネジメントのスタイルを確立していくことが求められます。

人材に関するマネジメント

人材に関するマネジメントとしては、主に以下の3つが挙げられます。

  1. タレントマネジメント
  2. モチベーション・マネジメント
  3. パフォーマンス・マネジメント

タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、組織の競争力の源泉となる「高い能力を持つ人材(タレント)」を戦略的に獲得・育成・活用する一連の取り組みのこと。
目的は、組織の目標達成に必要なスキル・経験を備えた人材を確保し、その能力を最大限に発揮させることにあります。

タレントマネジメントの主な領域は、以下の通りです。

  1. タレントの定義(競争優位の源泉となるコア人材の明確化
  2. タレント獲得(リクルーティング) 
  3. タレント育成(研修の実施やキャリアパスの管理など)
  4. タレント活用(重要ポジションに抜擢するなど)
  5. タレント定着(エンゲージメント向上施策の実施など)

タレントマネジメントを推進する上では、客観的な評価基準に基づいて、タレントを特定することが重要。例えば、パフォーマンス評価だけでなく、360度評価や評価センター等を活用し、多面的な評価を行うことが有効とされています。

また、タレントマネジメントは一部の人材だけを優遇する施策ではありません。全ての従業員がもつ多様な能力を引き出し、活かすことがポイントです。

さらに、経営戦略と連動させることも重要。事業の方向性や、必要となるスキルセットを見据えながら、中長期的な視点でタレントを育成・配置していく必要があります。

モチベーションマネジメント

モチベーションマネジメントとは、従業員一人ひとりの内発的動機づけを高め、自律的な行動を促すマネジメント手法を指します。目的は、従業員のモチベーションを引き出すことで、パフォーマンスの向上や、組織への貢献意欲の向上を図ることにあります。

モチベーションを高める要素としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. 仕事の目的・意義が明確である
  2. 達成感・成長が実感できる目標設定
  3. 自律性が尊重されている環境
  4. 良好な人間関係

具体的な施策としては、以下のようなものが考えられます。

  • 経営理念・ビジョンの浸透
  • 目標管理制度(MBO)の運用
  • 1on1ミーティングの実施
  • 社内表彰制度の導入
  • タレント・コミュニティの形成

モチベーションマネジメントを実践する上では、マネジャー自身のマインドセットも重要なポイントに。

部下のモチベーションを引き出すには、マネジャー自身が高いモチベーションを持ち、部下の手本となることが求められます。

また、モチベーションは個人によって異なることを理解することも大切です。画一的なアプローチではなく、一人ひとりの価値観やニーズに合わせたきめ細かなマネジメントが必要となります。

いずれにせよ、一朝一夕で実現できるものではありません。トライアンドエラーを重ねつつ、自社に合ったモチベーションマネジメントのあり方を追求していくことが重要だと認識しておきましょう。

パフォーマンスマネジメント

パフォーマンスマネジメントとは、組織の目標達成に向けて、社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、パフォーマンスの継続的な改善を促すマネジメント手法。

目的は、個人と組織のパフォーマンスを最大化することで、ビジネスの成果につなげることにあります。

パフォーマンスマネジメントは、以下の4つのステップで構成されます。

  1. 目標設定(Goal Setting)
  2. 進捗モニタリング(Progress Monitoring)
  3. パフォーマンス評価(Performance Appraisal)
  4. フィードバック(Feedback)

また、実行においては以下のような点が重要とされています。

  • 組織の目標と個人の目標のベクトルを合わせる
  • 頻繁にコミュニケーションを取る
  • 多面的に評価する
  • 評価の公平性・透明性を確保する

パフォーマンスマネジメントは、単なる評価制度ではなく、組織文化の醸成や、社員のエンゲージメント向上にも寄与する取り組み。

上司と部下の信頼関係を築き、対話を通じて社員の成長を支援することが、パフォーマンスマネジメントの本質といえます。

メンタルヘルスに関するマネジメント

メンタルヘルスとは、心の健康状態を表す言葉。仕事や職業生活におけるストレスや悩みなどから、メンタル不調を来す人が増加しています。

メンタルヘルスの不調は、企業にとっても生産性の低下や離職率の上昇につながる深刻な問題に。

メンタルヘルスに関するマネジメントには、主に以下の3つが挙げられます。

  1. メンタルヘルス・マネジメント
  2. ストレスマネジメント
  3. アンガーマネジメント

メンタルヘルスマネジメント

メンタルヘルスマネジメントとは、従業員のメンタルヘルスを良好に保つための取り組みのこと。

目的は、メンタル不調の未然防止と早期発見・対応を通じて、従業員が心身ともに健康で活躍できる職場環境を作ることです。

経営者や人事部門が中心となって、以下のようなアプローチで進めていきます。

  1. メンタルヘルスケアの方針の明確化と、トップのコミットメント表明
  2. ストレスチェック制度の導入と、集団分析に基づく職場環境の改善
  3. 管理職に対するラインケア教育の実施
  4. 社内外の相談窓口の設置と、周知・啓発活動の展開
  5. 復職支援プログラムの整備と、休職者への適切なケア

企業がメンタルヘルスマネジメントに積極的に取り組むことで、従業員のモチベーションや生産性の向上、離職率の低下などの効果が。

加えて、従業員の健康配慮は企業の社会的責任(CSR)の一環とも言え、企業イメージの向上にもつながります。

ストレスマネジメント

ストレスマネジメントとは、ストレスをコントロールし、心身の健康を維持するための取り組み。

ストレスマネジメントでは、ストレスの原因を把握し、ストレス反応をコントロールする方法を身につけることが重要です。

具体的な方法としては、以下のようなものがあります。

  1. ストレッサー(ストレスの原因)の特定と、可能な範囲での排除・軽減
  2. リラクゼーション技法(深呼吸、瞑想、自律訓練法など)の習得
  3. 運動や趣味など、ストレス発散の機会を定期的に設ける
  4. 睡眠、食事、休養などの生活習慣を整える
  5. 周囲の人に相談したり、サポートを求められる環境を整える

ストレスマネジメントは、セルフケアとして個人が主体的に取り組むことが基本ですが、職場環境の改善など、組織的なアプローチも欠かせません。

個人と組織の双方が、ストレスに対する正しい知識と対処法を身につけ、実践していくことが求められます。

アンガーマネジメント

アンガーマネジメントとは、怒りの感情を適切にコントロールする方法を指します。特に、職場における不適切な怒りの表出は、ハラスメントにあたる可能性もあり、慎重な対応が必要です。

アンガーマネジメントのポイントは、以下が挙げられます。

  1. 怒りの感情や怒りっぽい自分の性格を受け止める
  2. 怒りの原因や、怒りを感じるプロセスを理解する
  3. 怒りが込み上げてきた時に、冷静になるための方法を身につける
  4. 自分の怒りの表現方法を見直し、適切な表現を心がける
  5. 「私は〜と感じている」など、自分メッセージで伝える
  6. 怒りの背景にある、欲求不満やストレスに気づき、根本的な解決を図る

アンガーマネジメントの実践には、自己理解と自己コントロールの力が求められます。
セミナーや書籍などを通じて学ぶことはもちろん、日頃から自分の感情に向き合い、内省する習慣をつけることが大切。

「マネジメント」に必要な能力

一般的な組織・チームのマネジメントに求められる能力は多岐にわたります。

  1. 決断力
  2. コミュニケーション能力
  3. 状況把握能力
  4. テクニカルスキル

決断力

マネジメントにおいては、何が正しいのかを見極め、自ら決断を下すことが肝要。特に管理職の立場では、扱う金額も大きく、組織運営に直結する重要な意思決定を行う必要があります。

内閣人事局の資料によると、管理職に必要なスキルの一つに「コンセプチュアル・スキル」が挙げられています。

コンセプチュアル・スキルとは組織内外の相互関係を構造化し、重要な要素を理解することにより、最善の結果をもたらすような行動を導く能力を指します。

このように、状況を的確に把握し、適時適切な判断を下すことで、組織を最善の方向へと導くことが管理職には求められるのです。

参照:管理職に求められる「マネジメント」、管理職が執るべき行動の在り方について

コミュニケーション能力

管理職には、自ら積極的にコミュニケーションを図ることはもちろん、部下が質問や相談をしやすい環境づくりや、話しかけやすい人柄であることも重要です。

内閣官房内閣人事局の資料でも、「風通しの良い一体感のある職場づくり」のために、部下とのコミュニケーションを十分に図ることが求められています。

部下が話しかけやすい関係を構築し、双方向のコミュニケーションを通じて、部下の考えをよく理解することが大切だと示されています。

参照:管理職に求められるマネジメント行動のポイント

状況把握能力

管理職は、部下一人一人が今何をしているのかを的確に把握する必要があります。特に大人数のチームを率いる場合、全体の動きを常に把握しておくことが重要です。

状況把握能力は、業務の進捗管理や適切な資源配分、スケジュール調整など、マネジメントのあらゆる場面で求められるスキルと言えるでしょう。

部下とのコミュニケーションを通じて情報を集め、俯瞰的な視点で状況を把握する力が管理職には不可欠です。

テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、専門的な知識や技術のことを指します。管理職としての役割を果たすには、担当分野における高度な専門性が求められます。

加えて、組織の課題解決に向けて、専門的な観点から適切な意思決定を行う能力も求められるでしょう。

具体的には、業務に関連する知識を幅広く習得し、情報収集を行うことや、専門的な判断を下すための知見を備えていることが重要。

「マネジメント」能力を向上させる方法

組織・チームのマネジメント能力を上げるにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、代表的な方法をいくつか紹介します。

  1. 研修・セミナーの受講
  2. 資格の取得
  3. 書籍でのインプット

研修・セミナーの受講

マネジメント能力を向上させる効果的な方法の一つが、研修やセミナーの受講です。

例えば、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)では、以下のような多様なマネジメント研修を提供しています。

  • 1on1ミーティングの基本研修
  • 部下の成長支援マネジメント研修
  • 目標設定スキル養成コース
  • 多様性マネジメント研修

自社の課題や目的に合わせて適切なプログラムを選択し、体系的にスキルアップを図ることができます。

参照:日本能率協会マネジメントセンター(JMAM )公式サイト

資格の取得

マネジメントに関連する資格を取得することも、能力向上に役立ちます。代表的な資格には以下のようなものが存在。

  • PMP(Project Management Professional):プロジェクトマネジメントの国際資格。ITや建設業界で特に重視される。
  • 中小企業診断士:中小企業の経営課題の分析と解決策の提案を行う国家資格。コンサルティング業界で活躍できる。
  • 社会保険労務士:労務管理と社会保険に関する専門家としての国家資格。人事労務分野での専門性が高まる。
  • メンタルヘルス・マネジメント検定:部下のメンタルヘルスケアに必要な知識を認定する民間資格。管理職に求められる素養が身につく。

自身のキャリアプランと、所属する業界の特性を考慮しながら、取得すべき資格を選択しましょう。

書籍でのインプット

マネジメントに関する優れた書籍を読み、知見を深めることも重要です。

特に、マネジメントの名著として知られるピーター・ドラッカーの著作は必読です。『マネジメント――基本と原則』『非営利組織の経営』など、組織とリーダーシップのあり方を根源から考えさせてくれる内容となっています。

また、自身の業界や職種に特化したマネジメント書を選ぶのも効果的です。例えば、以下のような本があります。

自身の問題意識に基づいて適した本を選び、継続的に学び続けることが、マネジメント能力の向上につながります。

「マネジメント」に向いている人は?

マネジメントに向いている人には、どのような資質があるのでしょうか?ここでは、マネジメントに向いている人の特徴をいくつか紹介していきます。

  • 責任感を持って仕事をしている
  • 業務・業界への専門知識が豊富
  • 他人のことをよく見ている

責任感を持って仕事をしている

まずは「責任感を持って仕事をしている」という「姿勢」です。マネジャーは組織の成果に対して重大な責任を負っています。

部下の成果はもちろん、ときには部下の失敗もマネージャーの責任と見られることも少なくありません。このようなプレッシャーに負けることなく、最後までやり抜く強い責任感が求められます。

どんな困難な状況においても、自ら率先して課題解決に取り組み、チームをゴールに導く意志の力が、真のリーダーの資質と言えるでしょう。

なおドラッカーは著書『マネジメント』にて、マネジメントを行う人には誠実で強い道徳規範を持っていることを指す「真摯さ」(integrity)がなければならないと説いています。

真摯さはごまかせない。ともに働く者とくに部下は、上司が真摯であるかどうかは数週でわかる。無能、無知、頼りなさ、態度の悪さには寛大かもしれない。だが、真摯さの欠如は許さない。そのような者を選ぶ者を許さない。このことは、とくにトップについていえる。組織の精神はトップから生まれるからである。

引用:ドラッカー『マネジメント』

中国の経典「書経」の中でも、現代風に置き換えると「功績があっても人徳のない者には高い地位を与えてはならない」と解釈できる一文が存在します。

徳の高いものには官位を上げ、功績の多いものには褒賞を厚くする

引用:『書経』

このように、マネジメントには何よりも「責任感」「真摯さ」など「仕事の姿勢」が求められるとする記述が名著の中にしばしば存在。

古代においても現代においても組織マネジメントの本質は変わらないと仮定すると、「マネジメントに向いている人にはまずは姿勢が大事である」と考えてもよいと言えます。

業務・業界への専門知識が豊富

マネジメントを効果的に行うためには、担当業務や業界に関する深い専門知識(テクニカルスキル)が不可欠。それに加えて、関連する幅広い分野の知識も必要とされます。

例えば、プロジェクトマネジャーの場合、プロジェクト管理の手法だけでなく、財務、法務、人事労務など、多岐にわたる知識が求められます。

また、営業マネージャーであれば、自社製品・サービスの特性はもちろん、営業戦略の立案に役立つ情報を幅広く収集・理解しておく必要があるでしょう。

このように、自身の専門領域に閉じこもることなく、関連分野にも積極的に知見を広げようとする姿勢が、優れたマネジャーの条件だと言えます。

他人のことをよく見ている

優れたマネージャーは、部下一人ひとりの性格、スキル、モチベーションをしっかりと把握しています。それは状況把握力の高さと言い換えることも可能です。

プロジェクトの進捗管理においても、日々の業務の様子を細かく観察し、芳しくない兆候があれば速やかに対処することが重要。加えて、部下のメンタルヘルスにも十分な注意を払い、変調のサインを見逃さないようにする必要があります。

このように、高い観察力と洞察力を持ち、部下に寄り添いながら適切にサポートできる人は、マネジメントに向いていると言えます。

このように、業務・業界への専門知識、優れた観察眼と状況把握能力、そして何より強い責任感は、マネジメントに必要不可欠な資質だと言えます。

マネージャーの選び方

会社などの組織において、適切なマネージャーを選ぶにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、マネージャーを選ぶ方法を3つご紹介します。

  1. 経営幹部・管理職の推薦
  2. 人事に夜推薦
  3. 試験・適性検査による選抜

経営幹部・管理職の推薦

マネジメントは経営に直結する重要な業務であるため、経営幹部や上位の管理職が適任者を推薦するケースが一般的。会社の経営戦略や理念を深く理解しているため、それらに合致した人材を選抜することが可能です。

推薦された人材は、会社の目指す方向性と一致したマネジメントを行える可能性が高いでしょう。また、経営層との信頼関係も構築しやすいため、円滑な意思疎通が期待できます。

ただし、この方法では、現場の社員から「上層部の意向によって選ばれた」と受け止められ、不公平感が生じるリスクもあります。透明性と納得性のあるプロセスを経て、推薦理由を丁寧に説明することが求められます。

人事による推薦

日頃から社員の評価を行っている人事部門が、マネジャー候補を推薦するケースも。人事は、勤続年数、業績、社内評価など、客観的なデータを基に、公平な視点で適任者を選抜することができます。

大規模な組織では、経営幹部が個々の社員の能力を把握することは難しいため、人事による推薦が有効なケースが存在。
膨大な規模となる各部門からの情報を集約し、組織全体を俯瞰した判断を下すことが可能です。

ただし、人事は現場の業務に直接関与しているわけではないため、推薦された人材が実際のマネジメントで力を発揮できるかは未知数となるリスクも。現場の声を十分に聞き、実情に合った選抜を行うことが重要となります。

試験・適性検査による選抜

マネジメントに関連する資格や適性検査の結果に基づいて、マネジャーを選抜する方法も。

例えば、ITエンジニアであれば、「プロジェクトマネージャ試験」のような試験の合格者が候補者となり得ます。

この方法は、客観的な基準に基づいているため、社員からの納得感が得られやすいというメリットが存在。
また、必要なスキルや知識を備えた人材を確保できる可能性も高くなります。

しかし、資格取得や試験対策には、業務外の時間を割く必要があります。社員への負担が大きくなる点には留意が必要。
また、試験で測れない能力(リーダーシップ、コミュニケーション力など)も、マネジメントには不可欠です。

マネージャーの選抜方法にはそれぞれ一長一短があります。会社の文化や規模、業界の特性などを踏まえて、最適な方法を選択しましょう。

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部下の業務状況を適切に把握し、効果的なフィードバックを行うことは、マネジメントの重要な役割。

しかし、情報の収集や集計に多くの時間を費やしていては、本来のマネジメント業務に支障をきたしかねません。

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監修
yama13

yama13
慶應義塾大学卒。2020年より中小企業の経理業務に従事。現在は経理と並行してマーケティング領域も担当し、数字に基づく経営状況の分析を得意とする。実務視点と戦略的な思考を活かし、現場に即した改善提案を行っている。