日本におけるブルシットジョブとは?市場に与える影響や判断基準も解説

日本におけるブルシットジョブとは?市場に与える影響や判断基準も解説 お役立ち情報

ブルシットジョブとは、アメリカの人類学者デヴィッド・グレーバーが提唱した概念で、働いている本人さえも「その存在が無意味だ」と感じる仕事のことです。

この定義によれば、ブルシットジョブは社会に何の貢献もせず、ときには「有害なもの」であり、日本の職場においても深刻な問題として認識されています。たとえば、受付業務やロビイストなどがその例として挙げられるでしょう。

このようなブルシットジョブは企業にとっても、生産性の低下や組織文化の悪化、無駄なコストの発生などの大きな問題を引き起こしかねません。

上記を踏まえ、自社の業務を最適化するためにも、ブルシットジョブの基本的な考え方や市場に与える影響、判断基準の理解が不可欠です。

本記事では、日本におけるブルシットジョブについて、市場に与える影響や判断基準も交えて解説します。

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  1. ブルシットジョブとは?基本的な考え方や背景
    1. ブルシットジョブとは、存在が無意味と感じられる仕事のこと
    2. 提唱者は人類学者のデヴィッド・グレーバー
  2. 日本におけるブルシットジョブの具体例
    1. ①受付業務
    2. ②広告制作会社の一部の業務
    3. ③ロビイスト
    4. ④テレマーケター
    5. ⑤無駄な会議
  3. ブルシットジョブが日本の労働市場に与える5つの影響
    1. ①生産性が低下する
    2. ②精神的健康に影響する
    3. ③組織文化が悪化する
    4. ④経済的コストがかかる
    5. ⑤社会全体の労働観にも影響を与える
  4. ブルシットジョブかどうかの判断基準は?
    1. ①「自分の仕事は無意味だ」と感じるか?
    2. ②社会や組織に貢献しているか?
    3. ③組織内の役割はどうか?
    4. ④その仕事に対してストレスを感じているか?
  5. ブルシットジョブがなくならない5つの理由
    1. ①生まれやすい構造が存在しているため
    2. ②「働くことが美徳」とされているため
    3. ③書類仕事が増加しているため
    4. ④多くの業務が自動化しているため
    5. ⑤社会的圧力があるため
  6. ブルシットジョブに埋もれないための方法は?
    1. ①職務内容を見直す
    2. ②自己分析し、目標を設定する
    3. ③コミュニケーションを活性化させる
    4. ④定期的にフィードバックや評価をおこなう
    5. ⑤ワークライフバランスを確保する
    6. ⑥業務効率化ツールや自動化ツールを導入する
    7. ⑦意義のある業務にシフトする
  7. 【まとめ】ブルシットジョブへの理解を深めて対処しよう
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ブルシットジョブとは?基本的な考え方や背景

ブルシットジョブとは、労働者自身が必要性を感じられないほど、無意味な仕事を指す概念です。日本においても職場に広く存在しており、労働者の生産性や幸福度への影響は少なくありません。

このような点から、ブルシットジョブの実態を把握し、自社に落とし込んで改善を図る姿勢が大切です。

ここでは、ブルシットジョブの基本的な考え方や背景について、以下2点で解説します。

ブルシットジョブの基本的な考え方

ブルシットジョブとは、存在が無意味と感じられる仕事のこと

ブルシットジョブとは、働いている本人さえもその存在が無意味であると感じる仕事のことです。社会への貢献が見えにくく、その仕事がなくなっても誰も困らないと当事者自身が感じるケースが多いのが特徴です。

このような仕事が生まれる背景には、組織の官僚化や競争社会の歪みがあるとされています。

Randstad Workmonitorの調査によると、仕事への満足度が日本人は調査対象の国のなかでもっとも低く、ブルシットジョブが職場に根深く存在している実態が垣間見えます(※)。

(※)参考:statista「Where Job Satisfaction is Highest and Lowest」

提唱者は人類学者のデヴィッド・グレーバー

デヴィッド・グレーバーは、ブルシットジョブという概念を世に広めたアメリカの人類学者です。

ブルシットジョブは、グレーバーの著書である『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』で詳しく論じられています。グレーバーによると、「技術の進歩で消えるはずであった不必要な業務が増え続け、多くの方々がその仕事の意味を正当化できないまま働いている」と主張しています。

日本におけるブルシットジョブの具体例

日本の職場には、さまざまな形でブルシットジョブが存在しており、職種や業種を問わず見られます。従事する労働者が自分の業務に無意味さを感じるケースは多く、組織全体の生産性にも悪影響を及ぼしています。

このような点から、具体的にどのような業務がブルシットジョブとして挙げられるのかを把握しておくことが、労働環境の改善に向けた第一歩です。

ここでは、日本におけるブルシットジョブの具体例について、以下5点を解説します。

①受付業務

受付業務は、来客の応対や電話の取り次ぎ、施設の案内などをおこなう仕事です。かつては企業の顔として重要な役割を担っていましたが、近年はインターホンや自動受付システムの普及により、業務の多くが機械で代替されつつあります。

受付担当者の業務が形式的な対応にとどまるケースも増えており、「自分がいなくても組織は問題なく機能する」と感じている従事者も少なくありません。

②広告制作会社の一部の業務

広告制作会社には、クリエイティブ制作を支援する名目で設けられた中間管理職や調整業務が存在します。クライアントと制作チームの間を仲介するだけで、実質的な価値を生み出せていないと感じている担当者も少なくありません。

こうした調整業務がなくなっても制作の質が下がらない、あるいはむしろ業務がスムーズになる可能性があるとされています。

③ロビイスト

ロビイストとは、企業や団体の利益のために政治家や行政担当者に働きかける職種のことです。法律や規制の形成に影響を及ぼすことを目的としており、専門的な知識やネットワークを要する仕事です。

しかし、その活動の多くが特定の利益を守るためのものにとどまり、社会全体の利益には寄与しない、あるいは有害な規制緩和を促すケースもあるとされています。グレーバーは、社会的価値が乏しいブルシットジョブの代表例の1つとしてロビイストを挙げています。

④テレマーケター

テレマーケターとは、電話を通じて商品やサービスの販売促進をおこなう職種のことです。企業の営業活動を支援する役割を担っていますが、架電先の多くが営業を望んでいない相手であるケースも少なくありません。

受け取る側にとっては不要な接触となりやすく、成果が出ないまま通話し続ける業務実態が問題視されています。

⑤無駄な会議

無駄な会議とは、意思決定や課題解決につながらないにもかかわらず、定期的に開催され続ける会議のことです。日本の職場では「とりあえず会議」や進捗確認のみを目的とした定例会が多く、参加者が必要性を感じにくい状況が目立ちます。

このような会議は、本来の業務時間を圧迫するだけで実質的な成果を生み出しません。費やされる時間と人件費を考えると、組織全体のコスト損失は決して小さくなく、ブルシットジョブ的な業務として問題視されています。

ブルシットジョブが日本の労働市場に与える5つの影響

ブルシットジョブが日本の労働市場に与える影響は多岐にわたり、個人から組織、社会全体にまで及びます。無意味な業務に従事し続けることで、労働者のモチベーションが低下し、生産性の停滞につながることも少なくありません。

このような点から、ブルシットジョブの影響を把握しておくことは、労働環境の改善と業務の見直しにとって欠かせない視点です。

ここでは、ブルシットジョブが日本の労働市場に与える影響について、以下5点を解説します。

①生産性が低下する

ブルシットジョブに従事する労働者は、自分の業務に意義を感じにくい状態に陥りがちです。意味を見出せない仕事を続けることで、仕事への主体性が失われ、創意工夫や改善意識が育ちにくくなります。

このような状態が組織内に広がると、業務の効率が上がらず、生産性の停滞を招く一因になりかねません。

②精神的健康に影響する

自分の仕事に価値を感じられない状況が続くと、労働者の精神的な健康に悪影響を及ぼします。「なぜこの仕事をしているのか」という疑問を抱えながら働き続けることで、慢性的なストレスや無力感を招きかねません。

実際、ブルシットジョブとの関連が指摘されるバーンアウト(燃え尽き症候群)は、日本の職場でも増加傾向にあります。

③組織文化が悪化する

ブルシットジョブが職場に蔓延すると、「どうせ意味がない」という諦めの空気が組織全体に広がりやすくなります。互いの仕事への敬意が薄れ、職場の信頼関係が損なわれるケースも少なくありません。

組織文化の悪化は、優秀な人材の流出や採用難といった問題を招く恐れもあります。

④経済的コストがかかる

ブルシットジョブは、実質的な成果を生まないにもかかわらず、人件費や運営コストを継続的に消費します。無意味な業務に費やされる給与・経費は、組織にとって純粋なコストです。

このような非生産的なコストの積み重ねは、企業の競争力低下につながるほか、国全体の経済効率にも悪影響を及ぼすとされています。

⑤社会全体の労働観にも影響を与える

ブルシットジョブが社会に広まると、「働くこと=意義がある」という労働観が揺らぎ始めかねません。とくに、若い世代にとっては、就労意欲そのものの低下につながる懸念があります。

一方、本来は意義ある仕事に振り向けられるべき労働力がブルシットジョブに吸収されることで、社会全体の活力が損なわれるリスクもあります。

ブルシットジョブかどうかの判断基準は?

ブルシットジョブは日本の労働市場における深刻な問題ですが、「自分の仕事がブルシットジョブかどうか」を客観的に判断するのは容易ではありません。判断基準を知らないままでは、問題を見過ごし、改善のきっかけを逃すおそれがあります。

このような点から、ブルシットジョブに該当するかを見極めるための基準を理解しておくことは、より意義ある労働環境を作るうえで欠かせません。

ここでは、自分の仕事がブルシットジョブかどうかの判断基準について、以下4点を解説します。

①「自分の仕事は無意味だ」と感じるか?

ブルシットジョブの特徴は、従事している本人が「この仕事は意味がない」と感じていることです。

たとえば、「自分がいなくても業務は回る」や「誰のためになっているのかわからない」という感覚が続く場合、該当する可能性があります。

②社会や組織に貢献しているか?

その仕事がなくなった場合、「社会や組織が本当に困るかどうか?」という視点も重要な判断基準の1つです。廃止しても誰も支障をきたさない、あるいはむしろ業務がスムーズになると感じるならば、ブルシットジョブである可能性が高まります。

社会への貢献が実感できない業務は、グレーバーが定義するブルシットジョブの特徴に当てはまりやすいといえます。

③組織内の役割はどうか?

役割の中身が空洞化していると、組織にとって必要かどうかを問い直すきっかけになります。実質的な権限のない「管理職」の肩書きや、他部署の承認を仲介するだけの役割は、形骸化しているサインかもしれません。

形式的な役割は組織の実態を複雑にするだけで、意思決定を遅らせる要因になりかねません。

④その仕事に対してストレスを感じているか?

無意味な仕事に従事することで生じる慢性的なストレスや無力感も、ブルシットジョブを見極めるうえでの指標です。「なぜこの仕事をしているのかわからない」という感覚が長期間続いている場合、精神的な消耗につながるリスクがあります。

ストレスの原因が業務の「忙しさ」ではなく、「無意味さ」にある場合は、ブルシットジョブである可能性を疑ってみましょう。

ブルシットジョブがなくならない5つの理由

ブルシットジョブは問題と認識されながらも、なかなか社会からなくなりません。その背景には、経済構造や文化的な価値観、組織の慣習など、複数の要因が複雑に絡み合っています。

このような点から、ブルシットジョブがなくならない理由を把握しておくことは、問題解決の糸口を見つけるうえで欠かせません。

ここでは、ブルシットジョブがなくならない理由について、以下5点を解説します。

①生まれやすい構造が存在しているため

組織の階層構造は、業務分担や指揮系統を整えるうえで必要な仕組みです。

しかし、管理職が多くの部下を抱えることをステータスとみなす文化では、実際には必要のない役職や管理業務が増えやすくなります。

このような構造的な問題を解消するためには、定期的な役割の見直しと不要なポジションを整理することが欠かせません。

②「働くことが美徳」とされているため

日本では「勤勉に働くこと」が美徳とされる文化が根強く残っています

しかし、この価値観が、内容の薄い業務であっても「働いていること」自体を肯定させ、問題提起をしにくい空気感を職場に生み出しています。

このような状況を変えるためには、成果や価値を評価軸に据えた組織文化への転換が大切です。

③書類仕事が増加しているため

数値化が難しい業務をむりに定量化しようとする慣行が、本質的な価値を生まない書類作業を積み上げています。デジタル化が進む現代においても、業務の透明性確保を名目とした報告業務はむしろ増加傾向にあり、担当者の負担を押し上げています。

このような管理コストの増大を抑えるためには、報告業務の目的を整理し、不要な書類を削減する仕組みづくりが急務です。

④多くの業務が自動化しているため

単純作業や定型業務の多くは、自動化技術の進歩によって機械やシステムで代替できる環境が整っています。

しかし、組織の慣習や雇用維持の観点から、本来は自動化すべき業務が依然として人の手でおこなわれているケースは少なくありません。

このような状況を改善するためには、自動化できる業務を洗い出し、段階的なシステム移行の計画が大切です。

⑤社会的圧力があるため

「仕事を持つこと=社会への参加」という意識が社会全体に根づいており、働くこと自体に価値があるとみなされています。この意識のもとでは、業務の意義よりも「雇用されていること」が優先されやすく、ブルシットジョブが温存されやすくなります。

このような状況を変えるためには、成果や価値を重視する評価基準へと、意識を転換させることが欠かせません。

ブルシットジョブに埋もれないための方法は?

日本の職場ではブルシットジョブが増加傾向にあり、放置すると労働者の精神的な消耗や組織の生産性低下を招くリスクがあります。意義を感じられない業務が積み重なることで、本来発揮できるはずの能力や意欲が埋もれてしまいかねません。

このようなリスクを避けるためにも、ブルシットジョブに埋もれないための具体的な方法を実践することが大切です。

ここでは、ブルシットジョブに埋もれないための方法について、以下7点を解説します。

①職務内容を見直す

ブルシットジョブの多くは、慣習として続けられているだけで実質的な価値が問い直されていない業務から生まれます。自身の業務フローを棚卸しし、重複している作業や不要な工程を整理・廃止することで、ブルシットジョブを削減可能です。

これによって、真に価値のある業務に集中できる環境が整います。

②自己分析し、目標を設定する

目標が曖昧なまま業務を続けると、日々の仕事がルーティンになり、意義を感じにくい状態に陥りやすくなります。自身のスキルや価値観を整理したうえで、「この仕事が何に貢献しているか」を言語化する目標を設定しましょう。

目標が明確になることで、業務の取捨選択がしやすくなります。

③コミュニケーションを活性化させる

ブルシットジョブは、「この業務は必要か」という問いが職場で生まれにくい環境で温存されやすくなります。上司や同僚と定期的に業務の目的や成果を話し合う場を設けることで、不要な業務を可視化し、改善につなげることが可能です。

開かれた対話が、ブルシットジョブを生み出しにくい職場文化の形成に役立ちます。

④定期的にフィードバックや評価をおこなう

業務の成果を定期的に振り返る仕組みがなければ、無意味な業務がそのまま継続されやすいのが実情です。一方、定期的なフィードバックや評価の機会を設けることで、成果が出ていない業務を早期に見直すきっかけが生まれます。

評価の仕組みを整えることで、ブルシットジョブが蓄積しにくい環境が生まれるでしょう。

⑤ワークライフバランスを確保する

無意味な業務が多い職場では、形式的な作業量だけが積み上がり、長時間労働が常態化しやすくなります。休暇を適切に取得し、仕事以外の時間を確保することで、自身の業務を客観的に見直す余裕が生まれるでしょう。

ワークライフバランスの確保が、ブルシットジョブへの気づきを促す土台となります。

⑥業務効率化ツールや自動化ツールを導入する

日報の提出や進捗確認など、反復的で時間を消費しやすい業務は、効率化ツールを活用することで大幅な削減が可能です。自動化が可能な業務を特定してツールを導入することで、人が担うべき本質的な業務に時間を集中させられます。

反復作業の削減には、ツールの活用が有効な手段です。

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⑦意義のある業務にシフトする

ブルシットジョブが多い職場環境では、やりがいや成長実感が得にくい状況が続きます。自身の強みや関心領域を把握したうえで、社会や組織への貢献が実感できる業務への移行を上司と相談することが効果的です。

意義ある仕事へのシフトが、仕事へのエンゲージメント向上に直結します。

【まとめ】ブルシットジョブへの理解を深めて対処しよう

本記事では、日本におけるブルシットジョブについて、市場に与える影響や判断基準も交えて解説しました。

ブルシットジョブは働く本人が無意味と感じる仕事のことであり、生産性の低下や精神的な健康への悪影響、組織文化の悪化など、個人から社会全体に及ぶ多くの問題を引き起こします。

昨今では、日本の職場にも受付業務や無駄な会議などと、さまざまな形で存在しています。

ただ、ブルシットジョブは一朝一夕でなくなるものではありません。業務の棚卸しや目標設定、コミュニケーションの活性化など、日常的な取組みを継続することが求められます。

個々の企業で改善を図る場合には、業務効率化ツールの導入も有効です。たとえば、「ビヨンド日報くん」は、日報の作成・管理・フィードバックを一元化できるサービスです。業務内容の記録と振り返りを習慣化することで、改善サイクルを組織に根づかせられます。

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監修
yama13

yama13
慶應義塾大学卒。2020年より中小企業の経理業務に従事。現在は経理と並行してマーケティング領域も担当し、数字に基づく経営状況の分析を得意とする。実務視点と戦略的な思考を活かし、現場に即した改善提案を行っている。